1997年から研究室の学生に向けて、インターネットの掲示板を使って読書案内をしています。ジャンルは学業向けではなく、ほとんど趣味の領域です。
役に立つ・立たないは二の次にして、読書の世界を広げる一助としてください。
学生のための読書案内
1997年
- OKDの今月の1冊 投稿者:岡田成幸 投稿日:07月23日(水)10時13分21秒
- 卒論生・修論生諸君。そろそろ論文の書き方を勉強し始める時期です。格好の一冊を紹介します。
上田明子(1997)
英語の発想
岩波書店、1100円
卒論・修論は英語でというわけではありませんが、「明快な英文を書く」という副題がついている本書は、日本文を書く上でも十分に役立つものです。
論文は内容で勝負すべきものであることはもちろんですが、分かってもらうための修辞学・展開法を知っておくことは大切です。英語にはそのための教育があるくらいですが、その講義ノートのような出来映えの本です。
筆者はパラグラフを大切にと解いています。そのパラグラフを構成する方法、トピック・センテンスの重要性、パラグラフ間の構成法等々を、豊富な英文を例に説明がテンポよく進められています。
これを読むと、英語は論理を重んじる言語であることがよく分かります。一方、日本語は懐が深い言語で、多少の矛盾は言い回しでなんとでもなってしまう恐るべき言語なのでしょう。拙著の日本語の難解さはこの懐の深さに一因があるのでしょうが、名文家の文は難解の中にも論理展開の矛盾がないところが名文のいわれです。この本に書かれている技法の殆どは、日本語で「論文」を書く場合には役に立つことばかりだと思います(死語と化した「恋文」にこのような論理学はどうでしょうか)。
「論文」を書く前に、一読をお奨めします。英語に多少の取っつきにくさを覚える人には次のような読み方をご教示しましょう。
この本で取り上げられている英文には、かなり正確な訳文がついています。そちらを先に読み、情報を仕入れておいてから、英文を読む。このような読み方をすれば、読書のスピードを落とさずに読むことができ、また、内容をきちんと把握することができると思います。
- OKDの今月一冊(その2) 投稿者:岡田成幸 投稿日:09月04日(木)23時33分
- その2です。
その1の反響が全くないので、止めようかなとも思っています。
今月の一冊ですが、今月は二冊紹介します。
その1:松山幸雄著、イメージ・アップ(国際感覚を育てるために)、朝日出版社
松山幸雄を知っていますか。元朝日新聞論説主幹。有名なところでは、「勉縮のすすめ」 の著書があります。分野で言うとエッセイ。その好調エッセイシリーズの一冊です。若輩者には分別くさく写るかもしれません。しかし、論説主幹を長年経験しているだけはあります。正論がちりばめられた好著だと思います。後退史観とかマルドメ派といったテクニカルタームがうれしい。教育論(大学および幼児教育)として、また生活姿勢のプリンシプル構築に極めて有用なことに納得です。
その2:日本経済新聞社編、2020年からの警鐘、日本経済新聞社
日経新聞で好評連載中の記事を、単行本化したものです。今も連載中なので、続巻がおそらく出るものと思われます。日経新聞のホームページでも読むことができます[1]。要するに、30年後の未来予測もので、確たるデータに基づいての予測です。被害想定をやろうとしている人には必読かも(?)。
おまけ もう一冊ついでに紹介してしまいましょう。
その3:NHK国際局経済プロジェクト編、対訳:英語で話す日本経済Q&A、講談社
外国人にとっての日本の謎に答えるQ&A。データが豊富でおもしろい。
たとえば、日本の社長の給料は新入社員の何倍でしょうか。
①10倍 ②50倍 ③100倍
答えは、①。因みに米国は②。なぜ日本の社長はそんなに給料が安いのか。と質問が続く。答えに納得。答えが知りたい人は買って読んでください。対訳本なので英語の勉強にもなるが、日本語を読むだけでも結構おもしろい。
ところで、日本の教授の給料は助手の何倍か?
①1.5倍 ②1.6倍 ③1.7倍 選択肢の寂しさに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
- OKDの今月の一冊 投稿者:岡田成幸 投稿日:10月22日(水)18時31分25秒
- 研究会で紹介したので止めようかとも思いましたが、正式のタイトルをお教えしていなかったので載せます。
自然の中に隠された数学、草思社
紹介したように、数学的ものの考え方に対する示唆が多い書である。また、数学者のフラストレーションに至っては、書物内で実験が展開されており、実体験できる。過去に同じ様な体験をしたものならば納得できると思う。これは発想のキーである。
ついでにもう二つ。
高木隆司:理科系の論文作法、丸善ライブラリー、660円
坪田一男:理系のための研究生活ガイド、講談社ブルーバック、760円
卒論・修論の書き方講座を、この2冊を紹介することで省略します。 両者の方法論比較をするとおもしろい。高木隆司氏(熟年派)のは主として論文作成法。坪田氏(若干40歳)は主として研究スタイル(+普段の生活)編。
坪田氏は眼科医でNHKによく出てくるので知っている人も多いと思う。私個人は、既に実行しているものが大部分で両者から学んだものはほとんどないが、初学者には丁寧なガイドラインとなろう。
高木氏のは「表題の付け方」「数式の書き方」「文章例」など、まるで英論文の書き方のように、詳しい。書き方だけではなく、壁にぶつかったときの対処法、学会での懇親会での処し方まで・・・よけいなお世話っぽいところまで、手取り足取り。
1998年
- 肩の荷を一つ降ろして[2] 投稿者:OKD 投稿日:02月17日(火)19時23分12秒
- やーれ、やれやれ。
■ It doesn't mean 'go for it'. It's a sigh of relief.
修論発表、終わりました。皆さん、いろんな形で関わったものと思います。みんなまとめて、ご苦労さん。後始末もしっかり頑張ってください。
打ち上げの飲み会がキャンセルされ、ねぎらう機会を失しましたので、掲示板で代えます。
ところで、最近、我が家でフードプロセッサーを入手しました。ワードプロセッサーではありません。刻む・混ぜる・こねるをやってくれる機械です。早速、手打ち蕎麦に挑戦してみました。つなぎは小麦粉で、八割蕎麦に挑戦。水加減が分からなくて、最初はどろんこ遊び、あとは紙粘土細工のような感じ。打った蕎麦を切っているうちに、ぼそぼそになって、わんこ蕎麦の長さになってしまった。しかし、うまい。したざわり、こしの強さ抜群で、蕎麦は手打ちに限る。
それで今、そば粉を所望しています。一番粉(蕎麦の実の中心部を粉にしたもの:大吟醸だと思えばよい)は手にはいるのですが、二番粉、三番粉を売っている店を知りませんか。もっと蕎麦らしくするには、外側の粉が必要なのです。教えてください。
話、変わって・・・・・・・・
忙しい日々が続いているけれど、ビデオも見続けています。
セブン(この手は苦手だ)、ライヤー・ライヤー(喜劇に涙を絡ませた、典型的アメリカ映画。父親ならほろっとくる)、ファースト・ワイフ・クラブ(・・・・)、リトル・ブッダ(英会話の勉強に最適)、古畑任三郎シリーズを制覇、ついでに、あしたのジョー2シリーズも制覇した。シリーズ1はビデオ化されていないのかな。
今月の1冊も休刊中ですが、最近読んでおもしろかったものをついでに紹介しておきます。学術書関係はなし。
ロバート・フック:朝日選書
科学史を研究している若手研究者が書いたものですが、書き手としての力量十分で読ませます。
中谷宇吉郎:北大刊行会
この本から研究のヒントをいくつか得ました。
推理小説の経済倫理学:講談社
読んで純粋におもしろい。
学者人生のモデル:岩波書店
今読んでいる本。
吉武輝子を知っていますか。小説・評論家です。ラジオでおもしろいことを言っていました。
定年制は世代教育上必要である。老年世代が現役で頑張っていると、老年世代を養うべき次世代が育たない。機会を与えないと幼いままで大人になれない。その機会を老人世代が奪っていることに気づくべきである。最近、商工会議所に行って驚いたそうである。30~40代の世代の人達が幼く見えた。理由は、その人たちのおじいさん世代が未だに現役で頑張っており、出る幕がない。そのために大人になれないでいる。老人たちを養っていこうという気持ちが若い世代に生まれるわけがない。
うんちくのある言でした。
- トルコでのホテルライフ[3] 5月7日
- 私が滞在したホテルは、アンカラのダウンタウンからちょっと奥まったところにあるKing Hotel、三ツ星である。ご承知のように、ホテルのランクは無星から五つ星まで。五つ星は、アンカラではヒルトンホテルとかシェラトンホテルがそうである。五つ星になるにはホテルの施設・規模・客室係等々に相応の質が要求される。キングホテルは規模において小さいために三ツ星に甘んじているが、清潔さ・接客態度等は四つ星以上であると私は評価している。因みに宿泊料金は、五つ星が$100/泊で、キングホテルは$55/泊である。
さて休日以外は、公共事業省から帰ってきたらホテルで時間をつぶす以外にない。ベリーダンスはアンカラでは四つ星のデデマンホテルぐらいでしか見ることはできないし、しかもこのホテルのベリーダンスは中途半端であまりおもしろくないので、わざわざ出かけていく気にもなれない。必然、ホテルでテレビ鑑賞・読書三昧となる。以前はホテルでも仕事一途であったが、今回はそんな気にもなれなかった。
読書環境はすこぶる良好。邪魔は入らないし、部屋は広くて、今回も数冊日本から持ってきたのだが、書棚をセットし書斎化してしまった。しかし、今回の私はすべてにおいてpassive状態であったため、ピッチはあがらなかった。以下、読書案内。
皆さんは海外旅行にどんな本を持っていくのだろう。私は長期出張の場合は、数種類を携えていく。気持ちに波があるからだ。読んだ順に紹介しよう。但しここで紹介するのは、いつもの「今月のお薦めの一冊」とはちょっと違う。精神安定剤としての要素が強いからだ。お奨めはしない。
第1冊:●●本。いきなり●●本だ。著者・題名等は教えない。●●本で思い出したが、先日、村上公一君[4]から結婚通知のはがきが舞い込んだ。その文面で、夢枕獏のサイコダイバーシリーズのことに触れていた。すべて読んでしまったというのだ。以前彼にこのシリーズについて話したことを思い出した。これも一種の●●本であるが、ベースに空海があり、密教についてうんちくが傾けられているので、引き込まれてしまう。ただし、挿し絵が恥ずかしい。この手の本に挿し絵はいらない。家でこのシリーズを読んでいたら、カミサンから白い目で見られた。新婚さんの前では広げない方がいいと忠告しておこう。
第2冊:宮部みゆき著・火車。成り行きが最後まで読めないので、サスペンスものなのであろう。しかし、社会派でもある。クレジットカードの仕組みについてじっくりと教えてくれる。宮部女史はよく勉強しており、情報小説としても一級だと思われるし、ストーリー展開もおもしろい。しかし、登場人物に魅力がないので、もう一冊読んでみようという気にはなれなかった。出張さん[5]なら別の意見があるかもしれない。
第3冊:ディック・フランシス著・奪回。ご存じの競馬シリーズである。私の愛読書の一つであるが、主人公が魅力的なのがその理由。物語展開のパターンはいつも同じだ。主人公が危機に陥り、それを切り抜ける。危機の種類がいつも異なり、そこから切り抜ける機知も多様で、危機管理のあり方を教えてくれる。今回は、誘拐犯とのネゴシエーションの仕方が学べる。そんなことはないと思うが、ついでに誘拐されたときの心の持ちようも学べる。
第4冊:立花隆のすべて。厚い本だ。しかし中身は軽いので、すぐに読める。立花隆は優れたメッセンジャーではあるが、研究者ではないというのが、これを読むとよくわかる。研究者には向かない性格なのだろう。既成知識の体系化には意欲的だが、そこで満足してしまう(あるいは興味を失ってしまう)ようだ。研究とは、その先のことをいうのだが。
第5冊:仲田紀夫著・宇宙人と交信する方法。ふざけた書名からは想像できないと思うが、中身はしっかりしている。著者は旅行数学者である。著者を知らなければ、私も手に取らなかった本である。数学の原点を求めて世界各地を旅行し、その紀行文をシリーズ化したものである。地球語で宇宙人と交信はできないが、数学ならばひょっとして交信できるかもしれないというふれ込みである。本書は線形計画法にも優しく触れている。
第6冊:塩野七生著・イタリア遺聞。彼女の本にしては珍しく飽きが来た。随筆は今ひとつか。塩野女史には、やはり得意とする中世の男を語ってもらいたい。「オジサン改造講座」のノリで楽しいのだ。レパント海戦がお奨め。 ここで力つきた。他に環境問題を扱ったカーソン著・沈黙の春、仕事関係の論文数編をもっていったが、手つかずで持ち帰った。要するに軽い本しか読めなかった。
- OKDの今月の一冊と一本(その6) 7月6日
- 間が空いてしまった。本を読んでいなかったわけでもなく、ビデオを見なかったわけでもない。単に目次つき書名を紹介するだけなら簡単なのだが
[6]・・・・・・・・。
今回は、悩める男・山下浩二[7]に捧げるこの一冊といこう。
悩みは何処にでもあるのだ。NHKの連ドラ「天うらら」[8]を見よ。大工の親方との約束事項(職場恋愛禁止)を破ったうららと親方の悩み。恋愛は続けたい・仕事も続けたい(うららの気持ち)。恋愛は認めたい・仕事も続けさせたい(親方の気持ち)。しかし、約束はけじめだ、反故にはできない。この難問の対処法は、悩み続けることではない。問題の実体を明らかにすることだ。教科書はたくさんある。フィクション系小説は典型的難問の解法をシミュレーションしている。難題は悩むべきではない。解決を楽しむものなのだ。
■ジェフリー・ロビンソン著:ザ・ホテル(三田出版会)。
ホテル業は難題解決業である。ホテルは設備や調度品に目がいきやすいが、それに騙されてはいけない。サービスを提供するのがホテルであると、ラベリング[9]してしまおう。何処までの要求が許されるのか、この本を読むとよく分かる。何でもありだ。その難問にホテルはどう予防線を張り、かつ客へのサービスを質を落とさずに提供できるか、日々考えている。ホテルマンが女性客に誘惑されたらどうする(と言うことは、誘惑してもいいと言うことだ)、夜中に韓国ウォンの両替を要求されたらどうする・・・・・、マニュアルに書いていないことへの対処法を是非学んでもらいたい。
■三富克彦著:ホテルマン日記(KKブックス)。
ホテル業に関する日本版。前書がホテルの裏方日記ならば、こちらは客の側からの利用手引き書である。ホテルは外見ではない、従業員の質であるというのがよく分かる。
さて、大学審議会からの答申が出た。大学の出口をもっと厳しくせよとのことらしい。参考になる本がある。
■三輪裕憲著:ハーバード・ビジネス・スクール(丸善ライブラリー)。
大学の1単位というのは、45時間勉強し、試験に合格したものがもらえる世界共通の履修証明であるということを、最近知った。日本では1週2時間の講義を15週受けて合格すれば、2単位もらえることになっている。つまり、毎週2時間の講義と4時間の自習を15週やることを前提としたカリキュラムなのだ。学生は1教科につき毎週4時間の自習をやらねばならないのだ。本書は米国での留学を経験した著者が、その学習実態をこと細かく描写したものである。早朝の勉強時間(5:00~7:00)確保・受験戦略・成績が思うように上がらないときの方法論の見直しなど、啓発される。但し、学生いじめの書として。やる気が出てきた。
戦争関連は私の愛読書の一つである。戦争は先端科学と先端倫理学・哲学そして自己正当化論理学の宝庫である。
■ジョージ・フリードマン著:戦場の未来(徳間書店)。
ダビデの投石器から筆を起こし、キラー衛星に至るアメリカの兵器論である。目的の明確化と意志の集中が戦略の前提とは、研究論につながるものがある。
もう一冊。鉄道の本を紹介しよう。趣味が変わったわけではない[10]。純粋に鉄道の本であるが、システム論として読んでみた。おもしろい。
■須田寛著:東海道新幹線三十年(大正出版)。須田寛をご存じだろうか。JR東海の総裁(今は社長というのだろうか?)である。鉄道の目標・ニーズを理解し、発言に方向性がある。鉄道の目標はスピードの追求である。そこから生まれた時間を客に提供する。鈍行の郷愁に価値を見いだす人もいる。しかし、鈍行はコストがかかる。単位時間当たりに運べる客の数は少ない。それだけの対価を支払っていただけるのなら、鈍行のサービスも続ける。要は色々な選択肢を客に用意するということなのだ。
入院時[11]の読書計画は未だ立てていない。お奨め本の紹介を待っている。
さて、ビデオである。戦争物1本と三谷幸喜を2本紹介する。
■「エアフォース・ワン」。ハリソン・フォード主演。いつも2.5枚目役を演じているところが好感が持てる。かっこよすぎは良くない。しかしこの映画、おもしろいのであるが、途中から白けてしまった。愛国心の強要しすぎである。大統領はアメリカそのものであり、国民は大統領のために命を捨てる。大統領が助け出されたとき、国民がガッツポーズをとるところで胡散臭くなり、白けてしまった。愛国心は嫌いではないが、何事も「過ぎ」はよくない。
■「12人の怒れる男達」のリメーク版ができたそうだ。黒人少年の犯罪に対する陪審員の議論風景のみの映画である。最初、有罪:無罪=11:1であったのが、議論していくにつれ無罪支持者が増えていく。「12人の優しい日本人」はそのパロディである。若くて美人の妻が殺人容疑をかけられている。最初、有罪:無罪=1:11であったのが、次第に有罪支持者が増えていくという、逆パロディである。しかも、論理派が有罪支持で、感情論派は無罪支持である。さて大逆転なるか。三谷幸喜は人間観察が鋭い。意見を言ってるようで実は言ってないヤツ。他人の意見を巧みにパクるヤツ。付和雷同なヤツ。意見のふりしてただ事実だけを述べているヤツ。見事だ。そういえば最近、学食で長時間語る学生が増えてきた。ただ語ってるだけのヤツである。雑誌や本で得た知識だけを語っている。自分の意見は何もないようだ。胡散臭いヤツだ。研究でも知識だけ語るヤツがいる。自分の意見を語れ。
■「ラヂオの時間」も純粋におもしろかった。難局をいかに切り抜けるかという話であるが、生放送という時間条件が難しさを自乗する。スピード感が楽しめる。
- OKDの今月の一冊(その7)[12]
- ある研究ミーティングで災害社会学者が使っていた英語である。
kith and kin
こんな英語、聞いたこともない。辞書で調べると親類知己のことを言うらしい。但し書きに「古風:1300年代の言葉」とあった。こんな難しい英語使うな、と言いたいが、社会学では普通らしい。このような人々を
snobな方々 【衒学者】
などと言っては申し訳ないが、この程度の言い方ではまだまだ社会学者には相手にされない。これならどうだ。
sesquipedalian
意味が分からなかったら辞書で調べなさい。英国人に教わったれっきとした現代語だ。
■超明快訳で読み解く日米新ガイドライン
こんな本は如何でしょうか。英語の学習によろしいかと。
1999年
- OKDのお待たせの一冊(その8) 12月6日
- さてと、一年半ぶり。
ほとんど反応のなかったこのコーナー。考えてみれば当然だ。自分が読みたい本は自分で選ぶのが、普通人だ。読めと言われて、読むような輩などしれている。そもそも今時の○※▼□は本など読まないだろう。自分の価値観は自分で決める風を装うのが、今時の○※▼□である。いや、これは嘘だ。昔の○※▼□だって、そうだった。○※▼□はそのように粋がるところが○※▼□なのだ。人が読んだ本など読めるか、俺が読む本は俺自身で決める!
そんなわけで、「ほとんどよけいなお世話コーナー」であった。反応がないのも当然だ。 研究だって同じだ。研究スタイルは自分で開拓していくものだ。真似事ばかりだと、真似するネタを探すようになる。
しかしである。オヤジから一言、言っておきたい。・・・・
基本のなっていない者が、自分流を押し通したら、それは、ドクダンが落ちだ。独断だ。ある程度までは、真似っこは推奨されるということだ。かく言うokdも少し前までは、YOism[13]踏襲派であった。べつに真似っこを非難しているわけではない。人が何を考えているのか、何をしようとしているのか、何に向かっているのか、何を読んでいるのか、他人に興味を持つのは○※▼□の当然の行為だ。他人に興味を持たなくなったら、agingを疑ったほうがいいかもしれない。
長い前置きは、このコーナーの一時復活の前振りなのだ。「唐突」はokdの論理学が許さない。何とか理由を付けて、読んでいる本を紹介したい。この衝動はどこからくるのだろう。
■この一冊:助手[14]と太田[15]には、北淡町のかんぽの宿で紹介した[16]。
以下の英文の違いが分かる人は、この本を読む必要などない。
1. I love a girl.
2. I love girls.
卒論打ち上げの3次会の席でこの話題を出したとき、西田[17]は分かっていた。さすがである。
答えは、私はある特定の女の子が好きだ、と、私は女好き、の違いである。大きな違いだ。でも、説明されれば分かる話だ。
では次の問題はどうであろう。
1. I saw no lights there.
2. I saw no light there.
一見、簡単な文章である。しかし、両者の意味は全く違う。違いが分かるだろうか。
これはどうだ。この違いが感覚的に分かる日本人がいるのだろうか。
1. Every day jets are flying in the Tokyo skies.
2. Every day jets are flying in the Tokyo sky.
これは?
1. You have no plates?
2. You have no plate?
Nativeならば、これだけで郊外レストランか我が家の食卓かのシーンをイメージ仕分けるらしい。日本人が最も弱い冠詞・複数型の話なのである。この使い分けを論理的に説明している本がある。これを読んだからといって使い分けられるかどうかは疑問であるが、英語の発想法が分かる。以上の問題に答えられなかった人は、読む価値があろう。
小泉賢吉郎(1989)
英語の中の複数と冠詞、ジャパンタイムズ、\1,240
■この一冊:科学史に興味があるだろうか。ないのならビジネス誌はどうだろうか。
非力な弱動物が、弱肉強食の世界を生き抜くための武器は何か。このような出だしで、ぐいぐい読者を引っ張っていく。答えは自分で考えてほしい。okdは「多産」かと思ったが、人間社会にも通じる真理は違うところにあった。これは科学史の分野に入る本なのであろうが、okdは人間の原論として読んだ。書きっぷりが楽しい。おそらく訳者の力量であろう。ソフィーの世界を彷彿とさせるやさしい語り口である。ものごと(自然科学のみではなく社会科学・ビジネス論にまで踏み込んでいると理解できる:但し、読み手の理解力に依存するであろうが)の有り様を高度な内容にもかかわらず、読み手に合わせて理解できるように工夫されている。これだけ広い年齢層を満足させる(と思われる)本も珍しい。そんなわけで、1章だけでもいいから読んでみろ、と子供[18]にも読ませようとした。1章だけ読んでくれた。
アイリック・ニュート(1999)
世界のたね、NHK出版、\2,000
■この一冊:●●本はお好きかな。でもこれは●●本ではない。
長期の海外出張には必ず●●本とサスペンスものと仕事関係の本を持っていく。大体がこの順に読んでいくのだが、今回のトルコ出張[19]は、夜も忙しくて読んでいる暇などなかった。残念。
サスペンスには、必ずいい男といい女が出てくる。そして状況設定に危機一髪がある。フィクションには興味がないというものもいるであろう。たかが作り話ではないかと。そういう考えを持っている君。たった今、その考えは捨てるべきだ。前にも書いたかもしれない。サスペンスは、問題解決学なのだ。しかも、ill-problems[20]。あり得ないからこそ、危機状態をこれでもかという具合に悪状況下を設定できる。その解決方法に著者のノウ・ハウが披露されていれば言うことはない。その解決プロセスは君の実生活でも必ずや役立つであろう・・・・なんてことはないかもしれないが、ヒントは与えてくれる。
今回同行した世界的●●医者、いや世界的えらい医者[21]、彼は災害医学が専門なのであるが、ハードボイルド小説家・柘植何某の愛読者である。彼の言う危機脱出のノウ・ハウに嘘はないと言う。
本とはそういうものだと思う。自分の世界にどれだけ近づけて読めるか、それが勝負である。
門田泰明(1994)
白の重役室、光文社文庫、\640
2006年
- OKDの名古屋工業大学からの初めての一冊(その9) 9月26日
- 前回の更新が7年前とは、我ながら驚いている。
研究室のホームページには掲載していたのだが、こちらのコーナーにもコピーしておく。
■J.ディーバーを読む。
ジェフリー・ディーバーのクリスマス・プレゼント(文春文庫)を、GWなのにぎっくり腰で何もできない体をもてあまし、読んだ。文庫本の帯には「どんでん返し16連発」とある。これは読者が読みながら抱く犯人像が、土壇場でどんでん返しに合うという意味である。ディーバーを読むのは初めてであったが、十分に楽しめた。たとえば、殺人犯がその罪の責任を問われるかどうかを精神鑑定医の目を通して話が展開される。途中から、あれ、なんかおかしいぞと、読者(私)は思い始める。一番悪いのは殺人犯ではなくて・・・。また別の話では、ストーカーにつきまとわれている娘を助けようと駆けずり回る父親。警察は何もしてくれない。事故でストーカーは死ぬが、仕組まれた殺人であった。なぜか父親が犯人として逮捕。真の犯人は?真のストーカーは?あれ・・・、という具合に、読者は最後でディーバーの仕掛けに気づく。しかも16連発。
この本の魅力を堪能すると同時に、読者を自分のつくった虚世界に知らずに引き入れる技術を学んで欲しい。もちろんポップ科学の驚き批評家になるためにではなく、そのような批評文あるいは論文、そしてコメントに騙されないために。レトリックがふんだんにあしらわれた短編集であるが、レトリックを修辞法という綺麗な日本語で当てるのは間違いであると痛感する。このテクニックは読者を自在に操る悪の技法に変身する。確かにレトリック(rhetoric)にはトリック(trick)が内包されているが。
J.ディーバー:クリスマス・プレゼント、文春文庫
■防災研究者にお勧めする本。
日本自然災害学会の学会誌企画編集を担当している。その特集記事として「防災研究者の書棚(仮題)」を企画中である(2007年2月刊行予定)。学会員から推薦図書を紹介してもらおうというものであり、自分も以下に紹介しておく。
吉岡友治:だまされない<議論力>、講談社現代新書
最近の著作からという限定付きで紹介する。評論・社会科学・自然科学を問わず、思索法にも定型がある。論理展開力・説得力をのばすためにも、そしてなによりも、自分自身の間違った思索に溺れないためにも、身につけておきたいルール集。紋切り型(いわゆる常識)を疑うことの重要性を教えてくれる。科学を極めるスタンスのあり方を見つめ直すきっかけを与えてくれるかもしれない。防災対策の意思決定ルールとして対費用便益の最大化あるいは地域社会の最大利得を目的関数にする場合が多いが、それがいつも最適解とは限らないし、地域住民からもその対策に賛同を得られない場合も多い。なぜだろう。本編における民主主義と全体主義の議論にその一つの解を見ることが出来る。
■防災を学ぼうとする学生へお薦めする教科書。
以下、同じ趣旨である。
R.P.ファインマン:ファインマン物理学、岩波書店
物理学は災害科学の基礎を与える。本シリーズを読むと、たとえの妙と高校程度の数学で物理学の本質に迫らせる説得力に圧倒させられる。読み物としても面白い。分かることの楽しさを教えてくれる教科書である。同氏によるコーネル大学における古典力学と量子力学の講義録(物理法則はいかにして発見されたか、岩波現代文庫)は、研究者の研究に対するワクワク感が伝わってくる。教える立場からも必読である。
R.P.ファインマン:物理法則は以下にして発見されたか、岩波現代文庫
2015年
- OKDの北海道大学へ戻ってからの初めての一冊(その10) 6月11日
- 研究室に足を運んでくれる学生はご存じのとおり、私の辞書への興味は高いです。
書棚にある辞書関連から
■国語辞典の選び方も様々。
以前、研究会の時に紹介した、国語辞典の選び方の本です。
題名は遊び方だけれども、まじめな辞書の選び方が学べます。
サンキュータツオ:国語辞典の遊び方、角川学芸出版
(現在は、角川文庫で入手できます。)
■最近購入した類語辞典を2冊紹介しましょう。
全てに例文付きで、類語の違いを説明しています。
類語例解辞典、小学館
次は、PubMed(医学雑誌のデータベース)から収集した医学用語が中心のコーパス辞典です。
基礎的単語が多いので、医学に限定せずに「英単語の使い分け辞典」として活用できます。
ライフサイエンス英語表現使い分け辞典、羊土社
■辞書編纂に関する本も紹介しておきましょう。
著者は三省堂国語辞典の編集委員です。
飯間浩明:辞書を編む、光文社新書
映画化もされた辞書編纂作業をテーマとした小説です。作者のインタビューの方法も学べます。
三浦しおん:舟を編む、光文社文庫
■もう一冊。ノンフィクションから。
700 万年前の出アフリカから始まり、全世界に拡散していく人類の歴史を学術成果を踏まえて物語風に解説。
研究のアプローチが様々で、イメージが広がります。
印藤道子編:人類大移動、朝日選書
- OKDの今月のお奨めの一冊(その11) 9月15日
- 中韓関係を考えるニュートラルな入門書。なぜ、靖国問題に中国はこだわるのか。慰安婦問題の本質はどこにあるのか。欧州が触れようとしない植民地支配問題に毅然と立ち向かうには。第二次大戦の補償問題でこんなに差が付いてしまった日独の対処法から学ぶ謝り方の極意等々、歴史認識を語る座標軸を与えてくれる現代の必読書だと思います。
大沼保昭:「歴史認識」とは何か -対立の構図を超えて-、中公新書(2015)
日本の古典を読んでみよう。
芭蕉の俳句から、古池はどこにあるのか、蛙は本当に飛び込んだのか。たった17文字から縦横無尽に推理する日本語の妙を学ぶ。
だから何だと言ってはいけない。学識とはこのようなところから隠れ見えるものなのです。
長谷川櫂:古池に蛙は飛びこんだか、中公文庫(2013)
日本文学史はよく分からないと思っていたら、外国人の手になる本書は実に明快。欧州の文学と日本文学の違い。これは戦いのない平和な歴史がもたらしたもの。情景とそれに対する情念を綴ることに一途な日本文学は哲学のない散文として開花した。人よりも自然の力に畏怖を感じる日本人の災害文化に通じるものがある。
ドナルド・キーン:日本文学史 -古代・中世篇-、中公文庫(2013)
絵を見るのが好きな人にはお奨めの美術史。絵画の見方を教えてくれる著者は数多い。高階秀爾、中野京子は有名どころ。本書で山口氏の日本画の目利きに脱帽。感性が鋭いだけではなく、絵の見方を論理的に教えてくれます。
山口晃:ヘンな日本美術史、祥伝社(2012)
週刊文春の人気コラムが文庫本になった。
CMやブログを見ていてちょっとした言葉に引っかかり、バッサリと切って捨てる爽快感。とても共感できるなと思っていたら、作者は感性鋭いLGBTQをディスクローズされた方でした。
能町みね子:言葉尻とらえ隊、文春文庫(2014)
基本的にまじめ路線で本を奨めていますが、ちょっとした変化球を時に投げています。その妙を楽しんでください。
次の紹介本はド直球にまじめな本。人類がここまで繁栄する理由は色々あるが、文明は文化が多重的につがう結果と喝破しています。つがう(番うと書きます。「まぐわう」と同意)。このアイディアは研究にも通じます。異種方法論を単に応用するだけでは新しいものは生まれない。つがうことにより、新しいものが生まれます。このアイディアを多方面で活かしてもらいたい。
マット・リドレー:繁栄 -明日を切り拓くための人類10万年史、ハヤカワNF文庫
- 今月のお奨めの一冊(その12) 10月19日
- 今回は、Unit(単位)を知る本を紹介します。なぜこんな単位があるのかと不思議に思ったことはないだろうか。
たとえば、”ガロン”。英国と米国で量が違っているというのもおかしな話であるが、1 Imperial gallon(英ガロン)=4.54609 リットル。US fluid gallon(米国液量)=3.785411784 リットル。しかも、石油の量を量る単位バレルは1barrel=46gallon!この中途半端な数字はどこから来たのだろうか。
この使いにくいヤード・ポンド法は実は非常になじみ深いモノです。日本にも、1 石=10 斗=100 升=1000 合≒180 リットル。世界標準のリットルとは独立に生まれた石/斗/升/合があります。何が基準になって決まったのだろうか。
■単位はモノを判断するのに必要なツールである。
ロビンソンクルーソーは、絶海の孤島で足跡を見つけ、それが敵だと判断した。その時の判断となった単位は、自分の足の大きさ。
ウィトルウィウスは建物の大きさを決めるのに、当時の平均の人体寸法を使った。これが有名なダ・ヴィンチのウィトルウィウス的人体図である。人間はどのようにして,世界標準の単位を獲得していったのか。その歴史。
ロバート・クリス:世界で最も正確な長さと重さの物語、日経BP社(2014)
■日本の尺度は全て日本人の生活スタイルから来ている。
著者の石川英輔氏は江戸モノ(江戸のエネルギー事情とか)でシリーズ化しています。興味があれば、そちらもどうぞ。
石川英輔:ニッポンのサイズ -身体ではかる尺貫法-、講談社文庫(2012)
■読みやすいお話として、星田氏の本を二冊紹介しましょう。
星田直彦:図解 よくわかる測り方の事典、角川新書(2015)
星田直彦:図解 よくわかる単位の事典:角川新書(2014)
■ディメンジョンを理解することが物理を理解することの早道。2014 年に改訂新版が出版されています。
和田純夫・他:単位がわかると物理がわかる、文春文庫(2014)
■理系なのに、分数や小数は英語で発音できるでしょうか。べき乗はどうでしょう。数式が英語で読めなくては、国際学会では使いものにならない。意外と知らない数字の英語を解説したもの。1995 年に新版が出版。
松井司、ポール・スノードン:言えそうで言えない数の英語、The Japan Times(1987)
- 今月のお奨めの一冊(その13) 11月18日
- 今月は一冊のみ紹介。フェルマーの最終定理の証明にまつわる歴史的トピックがかなり面白い。ピュタゴラスの定理に始まり、証明法の強力な武器である数学的帰納法がどのようにして誕生したかなどが、誰にでも分かりやすく、かつ面白く紹介されています。登場人物のひねくれた性格描写も際立っておもしろい。しかも、各トピックに数学的証明付きなのがうれしい。この一冊で数学史はほぼ十分。頭が良くなった気がすること請け合い。論理思考の好きな学生には特にお奨め。
サイモン・シン:フェルマーの最終定理、新潮文庫(2006)
2016年
- OKDの今月の一冊(その14) 4月27日
- 現代を表すキーワード「ポストモダニズム」についての解説書。ここに至るまでの思想史を生命・精神・歴史・情報・暴力から説明。元々が建築用語であった「ポストモダニズム」を現代芸術、現代メディア、現代政治にまで広く使い回された理由について語り、その末に現代の思想史につなげ、現代が混沌的であり、過去の刷り直し・言い換え・パッチワークとして受け入れられている現実、全ての分野に尖った主張が無くなっている現実に気づかせてくれる。
船木亨:現代思想入門、ちくま新書(2016)
- 事典のおもしろさを熱く語っている。すでにもっている事典も数冊あったが、事典の幅の広がりとマニアックな(「理系あるある」に通じる)世界を示してくれた。
以下、目次から。
第1章 事典は最高の「教養本」である辞書・辞典・事典・図鑑、その定義/グーグル先生は力不足/本は読めなくても事典は読める/いい辞書・悪い辞書の見分け方 /なりたい自分を事典に探せ
第2章 面白い辞典・事典・図鑑読むための事典/引くための事典/伝えるための事典/書くための事典/ディープな事典/常備したい事典/見る事典/飾れる事典/楽しむための事典/おいしい事典(全56冊)
第3章 事典はいかにしてつくられているのか?
成毛眞:教養は「事典」で磨け ~ネットではできない「知の技法」、光文社新書(2015) - 事典のおもしろさを熱く語っている。すでにもっている事典も数冊あったが、事典の幅の広がりとマニアックな(「理系あるある」に通じる)世界を示してくれた。
2017年
- OKDの今週の一冊(その15) 5月9日
- インタビュー本。語られている未来学が刺激的。特に、カーツワイル。人間の知能発達は、線形ではなく指数関数的に実現してきている。指数発達を実感できる変曲点は2029年であり、情報の特異点は2045年と断言。情報クラウドが我々の生体器官と一体化するという。建築の未来もインゲルスにより語られているが、こちらは常識的な範囲に留まっている。
N.チョムスキー、R.カーツワイル、他:人類の未来 ~AI、経済、民主主義~、NHK出版新書(2017)
- 2007年の著作だが、全く古さを感じない。冊子体の題名は、{ポストヒューマン誕生}で、当時はシンギュラリティというキーワードは日本では受け入れられないだろうと言うことだったらしい。Kindle版で原著に合わせ{シンギュラリティ}に改名された。
R.カーツワイル:シンギュラリティは近い-人類が生命を超越するとき、Kindle版(2007)
- データ分析で陥る落とし穴は相関関係で満足してしまうこと。重要なのは因果関係に踏み込むこと。科学研究者にとっては当たり前の話(講義でも話している)だが、経済学では今、ホットな話題のようだ。ビッグデータの解析方法(サンプリング方法)について、RCT法等について論じているが、当たり前のことをクドクドと説明している感じ。文系向きの本では伊藤公一朗「データ分析の力 因果関係に迫る思考法、光文社新書(2017)」がある。論点は重要なことで知っておいて損はないが、こんな説明いるかという感じ。
岩波データサイエンス刊行委員会編:岩波データサイエンスVol.3 因果推論、岩波書店(2016) - 2007年の著作だが、全く古さを感じない。冊子体の題名は、{ポストヒューマン誕生}で、当時はシンギュラリティというキーワードは日本では受け入れられないだろうと言うことだったらしい。Kindle版で原著に合わせ{シンギュラリティ}に改名された。
- OKDの今週の一冊(その16) 5月24日
- 集合知(または群知能)についての本を紹介する。
人間の集団行動(災害時の平均的行動)を理解する上で重要な概念である。
なによりも、面白いしためになる。人混みの中で周囲にぶつからずに早く歩く方法や見知らぬ街で迷わずに最短で目的地に着く方法などは、昆虫の集団行動のルールに従うことで達成できる。また意思決定においては、専門家の意見よりも集団知のほうが正解率は高い。しかしその集団は、徹底的に民主制でなくてはならない。あるいは、ランダムサンプリング(あるいはビッグデータ解析のCRT法)である必要がある。平均化操作の際になんらかのバイアスがかかる君主制あるいは共和制のシステムが働くと、集合知は誤った解に到達する恐れがある。これは興味深い。これらの本からリスクを学べるし、チャンスのとらえ方も学べる。
レン・フィッシャー:群れはなぜ同じ方向を目指すのか? ~群知能と意思決定の科学~、白揚社(2012)
- 民主的集合知は正しいという結論にも条件がある。多様性のない集合は賢くないというもの。そうなると、防災教育を受けた集団(一様性の高い集団)は、賢くない集団と言えるのか?答えは学ぶ方法の違いにあるという。情報が積み上がって集団の意見となるのを情報カスケードという。積み上がり方が、漫然とした他人行動の模倣に依るのか、初期段階に多くの選択肢がありそれに個人の自由意思でお互いに干渉することなく独立選択しているかどうかの違い。他人の意見に耳を傾けずに自分の意思で教育の正当性を判断すべきであるが、その様な集団の決定は正しいので、従うべきだと言うこと。集団が意思決定する初期段階の学習態度が重要と言うが、その峻別は難しいナ?
シェームズ・スロウイッキー:「みんなの意見」は案外正しい、角川文庫(2009) - 民主的集合知は正しいという結論にも条件がある。多様性のない集合は賢くないというもの。そうなると、防災教育を受けた集団(一様性の高い集団)は、賢くない集団と言えるのか?答えは学ぶ方法の違いにあるという。情報が積み上がって集団の意見となるのを情報カスケードという。積み上がり方が、漫然とした他人行動の模倣に依るのか、初期段階に多くの選択肢がありそれに個人の自由意思でお互いに干渉することなく独立選択しているかどうかの違い。他人の意見に耳を傾けずに自分の意思で教育の正当性を判断すべきであるが、その様な集団の決定は正しいので、従うべきだと言うこと。集団が意思決定する初期段階の学習態度が重要と言うが、その峻別は難しいナ?
- OKDの推薦書(番外編) 6月8日
- 北海道大学高等教育推進機構オープンエデュケーションセンター科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP・コーステップ)の、池田貴子さんからメールを頂きました。池田先生が担当している前期学部授業「北海道大学の「今」を知る」において、学部1年生(文系・理系を問わず)を対象に北大が発行する冊子『知のフロンティア』の中からもっと詳しく話を聞いてみたい研究者を選んで【研究室訪問】をしたいとの依頼でした。その中で推薦図書3冊(以下の主旨において)を紹介してもらいたいとのことでした。
①ぜひ大学生に読んで欲しい一冊
・・・知識、生き方、世の中の見方など、学部生のうちに学んで欲しいことが記されているものを挙げてください。
②私の分野で今Hot!な一冊
・・・ご自身の研究分野で、今とても注目をされている、最先端がわかるようなものを挙げてください。
(※専門的なものや先生ご自身の御著書でも結構です。)
③私の人生に影響を与えた一冊
・・・専門書以外で、自分の人生にとって非常に重要な位置づけとなっているものを挙げてください。- 大学1年生と直に話し合える絶好の機会なので、研究室訪問は快諾いたしました。そして推薦図書については以下のように回答しました。
推薦書をお知らせいたします。学生が1年次生で文理入り交じっているということなので、主として大学(研究者)を知ってもらうという観点から、選びました。指定の②(私の分野からHotな一冊)は専門的すぎるので、基礎がないと読み解けないので外しました。むしろ基礎力をつけるという意味で①に追加しました。
①ぜひ大学生に読んでもらいたい一冊
大学生には「今」を知って、「未来」を見る目を養って頂きたいと言うことで次の書を推薦します。
■チョムスキー・他(2017):人類の未来、NHK出版新書
人間が向かう方向を示唆してくれるのが哲学であり人類学です。工学でもこれらの学問領域は思考の土台を作ってくれます。
以下は、人類の歴史を「情報」をキーワードに体系化した最近のベストセラーです。
■ハラリ(2016):サピエンス全史、河出書房新社
上記は各紙で取り上げられているので、すでに読んでしまった学生も多いと思います。以下の書も参考書として推薦します。
都市工学という分野で活躍の環境学者の本です。15年前に上梓されたものですが、この時すでに現在の日本を見通していた卓見に圧倒されます。視野の広さと分析力を学んで下さい。
■月尾嘉男(2003):縮小文明の展望-千年の彼方を目指して、東京大学出版会
③人生に影響を与えた一冊
研究者の生態を知るには、卓越した文筆者による伝記を読むのが最適です。現在の大学工学部の実態とそこで働く研究者の元気と悲哀が「工学部ヒラノ教授」シリーズで知ることができます。
■今野浩(2015):工学部ヒラノ教授と昭和のスーパー・エンジニア -森口繁一という天才-、青土社
物理学者の生態は岩波現代文庫の「ファインマンさん」シリーズで、生化学者ではビタミンCを発見したジェルジの「朝からキャビアを(岩波書店)」をお奨めします。研究者ってなんてキャラが立っているんだろうと、感心させられます。でも周りの先生たちは、みんなどこかしらここに出てくる人たちに似ています。学生たちは分属する前に心の準備をしておいてはどうでしょうか。楽しみと思うか、それとも気が重いと感じるか。 - 大学1年生と直に話し合える絶好の機会なので、研究室訪問は快諾いたしました。そして推薦図書については以下のように回答しました。
- OKDの今週の一冊(その17) 6月26日
- 防災の「哲学」という言葉をよく使う。ここで言う哲学とは何か?哲学のことを明快に解説している本があった。哲学とは、
①自分で考える技術である。
②困ったとき、苦しいときに役に立つ技術である。
③自分を了解する技術である。
防災の哲学に言い換えてみると、
①防災の枠組みを自分なりに整理する技術。
②防災研究に行き詰まったときに役に立つ技術。
③他領域との関係性を了解し、他者に防災を説明する技術。
竹田青嗣:自分を知るための哲学入門、ちくま学芸文庫(1993)
- この基本的な考え方を、哲学者ではない学者が哲学を身につけた経験談による解説書。
構造主義の基本ツールは数学と物理学である。
橋爪大三郎:はじめての構造主義、講談社現代新書(1988)
- この項を読み直していて、哲学について最近思うことがあるので記す。哲学再考(哲学と科学の関わりについての観照)である。
ここに至るまでに哲学者を含む他者との哲学論議を重ねてきた。上記推薦図書の竹田青嗣の書への書評は今もって変わらない。しかし、内容は哲学そのものと言うよりも哲学の方法論に関する部分についての評である、哲学とは何かと問われるなら、今では以下のように答えるであろう。多くの反論は覚悟の上ではあるが、素直な思いである。
まず、哲学が扱うテーマは「人間に関わる根源的テーマ」であり、真理、本質、同一性、普遍性、倫理、正義、美、心のあり方、社会のあり方など、多岐に分野はわたっている。しかしここで一つ疑問が生じる。「○○のあり方」のような価値判断を伴う思惟行為、すなわち~~すべしという「当為」の判断は、判断者の主観(嗜好)でしか規定できない価値基準を持ち込むことに依らざるを得なく、それは客観性を厳格化している科学的態度としては没価値性を持つ(科学的に無意味あるいは判断不可能という)ことに他ならない、のではないかという疑問である。これはドイツの哲学者ハンス・ヨナス(戸谷洋志(2022):ハンス・ヨナスの哲学)が見事に指摘していることでもあり、人間と自然、人間と社会との関係の事実のみを演繹的に深掘りしていく行為が哲学であり、「人間は、人間というフィルターを通してしか物事を意識できない、すなわち意識はすべて主観である。よって意識(主観)に基づく「当為」を考えることは哲学の範疇ではない」というカント的哲学に基盤を置く考え方であり、私も同意であり、上記哲学の対象からは{倫理、心の在り方、社会の在り方}などは、それぞれ倫理学、心理学、政治学の範疇であり、哲学とは別の場で論理展開すべきとの立場である。その後、フッサールの現象論に触れ、五感を含め意識したモノを主観で徹底して考える手法があることを知るが、現時点では私はカント的立場で発言することを許されたい。
この立場に立脚するなら、哲学とは「当為(~~すべし)」を探求するのではなく、人間が認識する事実の普遍性・本質を科学的(演繹的)に問い詰めること(○○とは何か)であろう。そうなると自然科学と相対する学問領域となるが、科学で解き明かされていない領域を補足している学問に留まっている、と言えないであろうか。科学が解明したとき、哲学はその部分を塗り替えられる。そのような刹那的な学問であるように思われてならない。現在の哲学における主題は主に「存在論(存在・実体とは何か)」「認識論(認識とは何か)」「倫理哲学(正義・道徳・幸福とは何か)」「政治哲学(政治・国家・社会・自由とは何か)」「精神哲学(心・意識とは何か)」「科学哲学(科学・科学的方法論・科学の限界とは何か)」「美学(美・芸術・美の価値とは何か)」等々であり、確かに科学では未だ解き明かされていない。しかし科学は、細胞レベルでナノテクノロジーにより解明が進んでいる。たとえば、直に意識や精神の本体が、科学的に見えてくるであろう。
精神のメカニズムも徐々に科学的に明らかにされていっている。細胞レベルで調べていると、細胞の中も多くの物質が詰まっていて、それぞれに機能を持って動いている。それらをコントロールしているのが、外界からの異物であったり、内部的にはホルモンであったりする。人間には快楽を覚えるドーパミンや幸せを感じるセロトニン、やる気を出させるオキシトシンなどのホルモンがある。生物(動植物)にもホルモンが働いており、とりわけ動物はホルモンを脳の深部である脳幹から放出するが、人間だけが、なかでもドーパミンは大脳皮質が活動することでも放出される。すなわち考えること、そして問題を発見したり解決したりすることは、大脳皮質が働くことで達成されるが、そのとき大量のドーパミンが大脳皮質から放出され快楽や満足(充たされた気持ち)を得るという。人間は考えずにはいられない動物であり、それが好奇心をもたらし、行動に移ったとき変革(パラダイムシフト)を生む。そこに向かうのが人間の心であり、それが意識であり、人間を特徴付ける精神なのかもしれない。
デカルトの有名な言葉「我思う。故に我あり」。これは実は、「我あり、故に我思う」。これが正解なのだと思う。まず、人間たる我が存在し、人間として存在するからこそ、思える(思惟することができる)のであり、これが誰も否定できない事実(真実)であり、ここから哲学の議論は出発すべきである、とデカルトは言っているのではないだろうか。それが、哲学からの示唆であり、図らずも後に生体科学がそのことを支持したのだと思われる。
いずれ、精神が科学的に定義され、そのメカニズムが細胞のナノレベルで解明されることであろう。哲学とは、それまでの学問であり、あるいはまたそこから未だ科学では解き明かされていない未知の領域を探し当て、哲学が進む過程をとるのかもしれない。
科学の歴史において、気象・地象・水象という自然学は、古代において未知なるもの・制御不可能なものとして畏敬の念で見られていた。その時人間は、「神」にその不可思議なものを委ね、納得した。中世になると、科学で解き明かされない部分は、哲学が宗教の観念に活路を見いだした(南方熊楠(1903):土宜法竜往復書簡)。その時には、倫理観なども議論の領域にあったであろう。そして近代になり、科学は哲学や宗教に依存することなく自然のメカニズムを説き明かしていった。自然は畏怖ではなくなった。他方、生体学はどうであろうか。倫理感を含む哲学や宗教学の段階をスキップし、いきなり科学の領域で細分化(アトミズム)が進行した。かつては試験管ベイビーと呼ばれ忌み嫌われた手法も、現代では不妊治療の標準として認知されている。デザイナーベイビーも現実化してきている。遅ればせながら、生命倫理学が議論され始めた。
このような経過を辿ってきた哲学と科学の関係を検証するなら、哲学は科学の未解決部分のとりあえずの(刹那的な)棚上げ論と思えてくる。哲学の議論は、個人的価値は見いだせるとしても(たとえば、上記の竹田青嗣による科学推論の方法論を与えてくれるように)、しかしその社会的価値は何であろうか、定義を徹底的に抽象的に概念化し議論することに、社会的価値を今のところ私は見いだせない。(2025年8月8日、記す) - この基本的な考え方を、哲学者ではない学者が哲学を身につけた経験談による解説書。
2019年
- OKDの今月の一冊(その18) 7月2日
- 二宮淳人の「世にも美しき数学者たちの日常」が気になり、本屋で探していたところ、同著者による「最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常(新潮文庫)」が目に留まり、こちらを立ち読み。すぐに引き込まれてしまった。
芸術家というひとくくりにはできない人種は、我々とは別世界に生きている。しかしなんとも魅力的。木材を加工するのにチェーンソーとかクレーンを使いこなすのでゴリラ体形のキン肉マンになってしまう学科もあれば、男女二人が個室で愛の歌の練習三昧の結果、チャラ男養成の声楽科もある。
藝大には建築科もある。初学の段階で人体感覚を徹底的に鍛えるらしい。まずは椅子の製作が課題で与えられる。そこから始めて、最後は都市計画にまでたどり着く。
藝大で扱うのは音楽に美術、工芸だけかと思っていたら、音楽環境創作学科(音響設計)とかアートマネジメント学科という学科もあるらしい。なんとイベント企画である。毎回、どうやってサプライズを仕掛けるかを考える学科!
藝大学生へのインタビューで情報収集したらしいが、著者のツッコミが効いている。
二宮敦人:最後の秘境 東京藝大 ~天才たちのカオスな日常~、新潮文庫(2019)
- もう一冊。参議院議員選挙がもうすぐ始まる。平成時代の日本の政治を総括した本がこれ。山口二郎さんは元北大法学部教授。民主党設立に尽力した人ですが、この本では安倍自民を批判的ではあるものの、旧民主党に対しても、また自分自身の政治活動に対しても批判的立場から発言しておりやや左寄りではあるものの、ほぼ公平な感覚で平成の政治と経済を概観できる。ただし、この本のみでは完全に政治システムをフォローすることはできないであろう。Web等を使って政治用語を調べながら読むとよい。選挙には必ず行きましょう。
水野和夫・山口二郎:資本主義と民主主義の終焉 ~平成の政治と経済を読み解く~、祥伝社新書(2019) - もう一冊。参議院議員選挙がもうすぐ始まる。平成時代の日本の政治を総括した本がこれ。山口二郎さんは元北大法学部教授。民主党設立に尽力した人ですが、この本では安倍自民を批判的ではあるものの、旧民主党に対しても、また自分自身の政治活動に対しても批判的立場から発言しておりやや左寄りではあるものの、ほぼ公平な感覚で平成の政治と経済を概観できる。ただし、この本のみでは完全に政治システムをフォローすることはできないであろう。Web等を使って政治用語を調べながら読むとよい。選挙には必ず行きましょう。
2020年
- OKDの今月の一冊(その19) 8月26日
- 数学者で経済学者の故・宇沢弘文の講演集。同著による「自動車の社会的費用、岩波新書(1974)」や「社会的共通資本、岩波新書(2000)」が有名である。「自動車の・・・」は、我が師・太田裕先生から学生時代に紹介された本である。自動車を機能だけではなく、交通事故やエネルギー問題を含め、社会的にどう評価していくべきかを論じたもので、未だに経済学を論じるときの教科書となっている。
宇沢は経済学ではケインズ派に属しよう。新自由主義を徹底的にたたく思想家でもある。医療や教育の重要性を社会的共通資本という概念で説く。その高潔さから故・ローマ法王(ヨハネ・パウロⅡ世)からアドバイザーを頼まれたという人物である。今般、建築業界では空き家問題が取りざたされているが、建築を社会的共通資本として見なすことにより、私物としての空き家を公共物として使う途が見えてくる。
書店には、アフターコロナを語る著作が増えてきているが、どれもまだ深い考察にまでは至っていないように、物足りなさを感じている。彼は東日本大震災直後に鬼籍に入られたので、「人間の経済」にはリーマン・ショック迄の世界史しか語っていない。宇沢ならアフターコロナの世界をどう形作ってくれただろうか。語ってもらいたかった。
宇沢弘文:人間の経済、新潮新書 (2017)
宇沢弘文:社会的共通資本、岩波新書(2000)
宇沢弘文:自動車の社会的費用、岩波新書(1974)
脚注________________
[1] 現在は読むことはできないと思われる。
[2] 修論発表の後に投稿したものです。
[3] 海外出張から戻って。
[4] 当研究室の卒業生。W関数のメキシコ版を卒論でやってもらった。現在、大林組。
[5] 当研究室の当時の卒論生。推理小説サークルに所属。現在、東京消防庁。
[6] 論文紹介と言いながら、内容に触れず目次だけをつらつらしゃべっている輩がいる。紹介とは紹介者の解釈と批判眼がなくてはならない。それに
対するちょっとしたironyである。
[7] 当時、研究室の卒論生であった。
[8] NHKの朝の連続ドラマ(7:30からBS2で、8:15から総合テレビで放送)
[9] 社会学では、レイベリング(labeling)と言う。
[10] 某教授が鉄道マニアだというのはご存じのことであろう。
[11] この年、肩関節脱臼と足首靱帯断裂の2重災害により手術を余儀なくされた。
[12] 未定稿のため投稿に至らなかったものである。
[13] YOismとは、本研究室の初代教授太田裕ismのことである。
[14] 髙井伸雄助手のこと。
[15] 学生・太田洋芳君のこと。
[16] 3人で、北淡町の調査のため、かんぽの宿に泊まったときのこと。
[17] 学生・西田佳未さんのこと。彼女の英語は米国仕込みで凄いらしい。
[18] 我が家の長男・健太郎。当時10歳。
[19] 通算10度目のトルコ出張である。
[20] 悪問題と訳す。問題設定と解答が非線形関係で一筋縄ではいかない。それに対し線型的な単純な問題をwell-problemsと言う。
[21] 金沢医科大学・和籐幸博博士のこと。麻酔科医師であるが、災害医学の世界的研究者。